友達の連鎖

イギリス/ロンドン
大英博物館からの脱出に成功し、次なる行動について思案に明け暮れたのち、オーケストラを聴きに行くという高尚な遊びを考案した。そうして向かった先はロイヤルフェスティバルホール。以前にも記述したように、私はピアノを3口ほど齧っているから、クラシック音楽に対する教養も僅かばかりだがあることはある。

ここフェスティバルホールはロンドンフィルハーモニーの本拠地であるという。ロンドンフィルハーモニーがどれほど素晴らしいものなのかなど、当時の私は知る由も無い。チケットの予約はしていないので、会場で直接手配する。
当時、受付の黒人紳士の発する英語が理解できずに困惑したことを覚えている。”Can I check your address ?”
とID(パスポート)を見せるように言われたのだが、この時 “check your address” が”check your dress” に聞こえたため、私のこのペンギンのような服装では入場できないと言われたのではないか、という被害妄想を繰り広げ、その男性に笑われてしまった。
無事に割と前の方の席を確保することができた。確か14£ほどであった。日本では考えられないくらい安いらしい。

演目のメインは「ラプソディ・イン・ブルー」アメリカのガーシュウィン作曲の非常に有名な楽曲であるが、最近で言うと「のだめカンタービレ」で改めて脚光を浴びていた記憶がある。
指揮者がユーモアのある人のようで、私には何を喋っているのかは残念ながら理解できなかったが、曲と曲との合間のトーク時には年老いた紳士淑女で溢れ返る会場が、まるで落語の公演でも行われているかのような爆笑の雨あられであったことを覚えている。

肝心の演奏はというと、非常に素晴らしかった。が、音楽のリポートを出来る技量は持ち合わせていないので、素晴らしかったと言うに留めておこう。本日も博物館にコンサートと文化的活動に奔走し、精神的充実を図ることができた。
夕食はアールズコートにある中華料理屋に勇気を振り絞って訪れてみることにした。実は昨晩、ソーホー地区の中華街で9£の中華料理ビュッフェを食べたのだが、これが驚くべき不味さであった故、ロンドンで中華料理を口にすることに躊躇いを感じていたのである。だがこの国では中華料理が最も美味しそうに見えるから、今回はリベンジの意味も込めて比較的美味そうな店を選んだ。
汁なし担々麺に白米を注文すると、店員に怪訝な面持ちで「麺にご飯?大丈夫?」と繰り返し尋ねられた。もちろんの事ながら、「日本ではこれが当たり前だ愚か者!」と豪語しておいた。安定した味付けの担々麺と温かい白米を口に含み、日本料理の素晴らしさに思いを馳せながら、また、満足のいく食事を久々に取れたことを喜ばしく思った。
宿に戻るとスウェーデン人の可憐な女性とブラジル人男性が談笑している場面に遭遇し、彼らに声をかけられ少し話をした。このブラジル人こそ、我が愛すべきブルーノである。今でもメッセージを交換し合う友人である。北欧美人はすぐに寝てしまったが、ブルーノと私は遅くまで話した。

ブルーノは26歳で、英語を学びにイギリスにやってきていた。当時は1ヶ月だけ滞在すると言っていたが、実際には彼はいまだにロンドンにおり、働いているということである。日本のことや家族のこと、今まで行ってきた国のことを話し、ブルーノからはブラジルのことをたくさん聞いた。

ちなみにブルーノはサッカーは出来ない。「サッカーが出来ないならば、ブラジル人ではない」という命題は成り立たないそうだ。

ブルーノがロンドンに来たのは私とほぼ同じタイミングだが、全然観光はしていないとのことだったので、明日一緒に回ることにした。逆に彼はこれまで何をしていたのか、そんな下手な詮索はやめておいた。
彼はいつも私に、一つの話題が終わると”Do you understand me ?”と聞いてきた。もちろんわかっていないことの方が多いのでノーとばかり言っていたが、その都度ちゃんと説明してくれた。お互いに英語が下手だったのでコミュニケーションをとるのは困難を極めたが、それでも何か通ずるものがあった。
さらに友達の連鎖は止まらない。

相部屋のフランス人のイリアース。彼ともいまだにメッセージの交換をする仲である。ちなみに私と同い年である。普段はパリで大学生活を営み、今回はロンドン一人旅を決行したとのこと。ロンドンまで気軽に来れるなんてどれほど素晴らしいことか。彼は非常に流暢な英語を使いまわし、その甘いルックスで英国美人を籠絡させている。というのは私の妄想で、非常に好青年である。
彼は日本に非常に興味があるようで、来日を企てようとしていたが、私はまだ彼の来日する姿を見ていないので、計画を立てることに苦心しているのだろうとあたたかく見守る姿勢を貫いている。
久しぶりに誰かとちゃんと会話をすることができたことが本日の一番の収穫であった。
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