赤と白の正体

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ポルトガル/ポルト
スペインもそうだったが、ポルトガルの夜も長い。例のテラス席なんかは、深夜0時でもまだ解放されており、ポートワインの入ったグラスを傾けながら会話を愉しむ男女の姿や、老人の姿まで見受けられる。さらには大音量でチャントを繰り返す赤と白の縦縞集団が、宿の前を幾度となく通り過ぎる。
そのためなかなか眠りにつくことができなかった。
翌朝、宿の簡素な朝食を済ませ、「もう一泊するから」と、管理人の女性に追加の一泊分の料金を支払う。今日は絶好の散歩日和だ。

昨日は対岸からポルトの全貌を捉えたので、今度は「クレリゴスの塔」というところから全貌を見渡してみようと思う。

オレンジの屋根の建物と上空を飛び回るカモメたちの鳴き声が、港町の趣を醸し出す。
お次に世界一美しい本屋と言われている「レロ・イ・イルマオン書店」に足を運ぶ。

当時は店内の撮影はNGということだったので外観のみの写真しかない。確かに美しいのだが、当時本に興味のなかった私にとって興味がない上に異国の言葉で綴られた書物ばかりなので、そこまで心惹かれることはなかった。
散歩中ふと気がつくと極度にのんびりしたポルトの雰囲気が私の脳細胞を蝕み、考えることをやめさせようとしているように感じられる。その感覚は行動へと反映され、私はポルト市民と同じように、午前中から酒を飲むという行為に至る。そしてその足先はボリャオン市場へと向かう。

この市場は有名であるが、私が訪れたときはあまり栄えていないように感じた。二階なんかは廃屋のようなところも散見されたが、この市場に入っているワインバーで飲んだポートワインは今まで飲んだワインの中でももっとも濃厚かつフルーティで、今でも忘れられない味である。

当時はあまりワインに慣れていなかったせいもあり、一杯でほろ酔い気分になってしまい,完全に私の脳みそはポルトガルのんびり症候群に侵食された。
のんびり気分で街を闊歩する。
ついでお腹が減ったので、気になっていた旧市街対岸のレストラン群へとほろ酔いでおぼつかない足を運んでみた。ポルトガル料理は思っていたよりも安くはないので、(と言うのも量が多いからであるが)最も庶民的そうなところを選んだ。
まず注文したのはおきまりのSUPER BOCKとそれから「バカリャウのコロッケ」である。

バカリャウというのは鱈のことでポルトガル料理には欠かせない食材である。

ちなみに鱈はポルトガルの名産ではない。実際に産地として有名なのは北欧諸国などであるそうだ。遥か昔、三角貿易において盛んに取引されていたことに由来して、保存性の高い鱈はポルトガルでも主食として食べられているという。

しかしながらこのバカリャウコロッケがまさに絶品であり、もちろんお代わりをした。

次にメニューにあった、「polvo」というものを注文してみたが、写真が無いためどんな食べ物かは全くもって想像できなかった。なのになぜ頼んだのか。それは永遠の謎である。

polvoというのはタコのことである。この料理はタコのマリネのようなものでこれもまた非常に美味であった。だがしかしやはり量が多すぎる。こんなにたくさんのタコをいっぺんに食べたことはまずないだろう。
これだけ食べて10ユーロほど。安くもないが高くもない。
食後はワイン蔵をぶらぶら見て回ったり、川沿いでにわか撮影作業に打ち込んだり、昨日旧市街を眺めたところでぼーっとした。

昼間からそうであったが、夜が近づくにつれてやはり赤と白の集団がやかましくなっていく。

はじめはFCポルトのサポーターではないか、ユニフォームが変わったのだろうかと推測していたのだが、どうも様子がおかしい。だから調べてみたのだが、なんと今宵欧州チャンピオンズリーグが開催されるというのだ。ポルトvsビルバオという組み合わせを見てようやくわかった。この赤と白の縦縞はビルバオサポーターであったのだ。
ビルバオサポーターは前日からポルトに前乗りし、あちこちで騒ぎ立てていた。まるで侵略者のように。アウェーに乗り込む人間としてその振る舞いはどうなのかとも思うが、このサポーターたちはそれだけ闘志をむき出しにしていたとも取れる。
これは見に行くしかない。そう思いスタジアムの場所はわからないが、FCポルトの本拠地まで赤と白を追いかけた。次第に青と白の縦縞が増え始める。FCポルトのサポーターたちだ。ビルバオサポーターのように騒がず、どっしりとこの日を待ち構えていた、という印象を受けた。
もちろん私はポルトを応援することにした。

当日チケットを購入する必要があったのだが、窓口に行くとどうも相手にしてくれない。ファンクラブに入会していないからとかどうとか言っていた気がする。それでも諦めるわけには行かず、スタジアム周りにいたおじさん(ダフ屋)が声をかけてきて、15ユーロでどうだと言ってきた。私は考えるまでもなくそれを購入し、チケットを握りしめてゲートに向かった。

しかし私が通されたゲートはビルバオ側の客席であった。朝から酒浸りの狂った連中のところに押し込まれそうになることだけは避けたかった。なので一旦ゲートを出て、私はポルト側に行きたいとスタッフに言ったところ、一度出た人間を入場させていいのかと揉め始め、30分ほど待たされてしまった。
その間にスタジアム内からはアンセムが鳴り響く。早くしないと試合が始まってしまうではないか。ようやくスタジアムに入れたときには、始まって2分ほど経っていた。それでも選手を間近で見ることのできる席だったため、先ほどまでのことは忘れることにした。

両チームの選手は全然知らないが、やはりサッカーはいい。
結局ポルトがなんとか勝利した。侵略者たちを返り討ちにすることができ、ポルトサポーターも安心したことだろう。ただ一眼レフの持ち込みを制限されてしまったことは残念であった。
帰り道はビルバオサポーターはポルトサポーターが帰ってからしか帰れないよう規制されていたようだった。そりゃあれだけ暴れていたらそうなるだろう。
のんびりしていた割には非常に濃い1日だった。特に何もせずにのんびりすることがポルトを楽しむコツであると言えるだろう。
さて、もっとだらだらしていたいのだが、一応1ヶ月という制約もあるため、明日はポルトガルの首都リスボンに赴くことにした。
ユーラシア大陸最西端はすぐそこだ。
長距離列車の発着駅
OSHITEKUDASAI
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