“クスクス”と

シャウエン→フェズ

 ”ムスンメン”をご存知だろうか。東南アジア系の麺類でもなければ、”娘”という言葉が東北かどこかで訛ったものでもない。簡単に言えばモロッコ版クレープである。クレープよりもどちらかといえばナンに近い分厚さであり、ほくほくでもちもち、モロッコではよく朝食で食べられているそうだ。是非とも私も食してみたい。

 シャウエン2日目の朝、午後のバスの時間までの暇つぶしにと、名残惜しくはないが名残惜しむかのように町を歩いた。

 その道中、私は”ムスンメン”に出会った。女性が家の前で簡単なショーケースのようなものをこしらえ、その中には”ムスンメン”が佇んでいた。こんなに見るからに「ほくほくもちもち」してそうな”ムスンメン”が美味しくないわけがない。宿には朝食が付いていなかったため、腹の減っていた私はすぐに飛びついた。

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 だがしかし、無味であった。

 当ブログの熱烈なファンの方達ならお分かりだろうが、この感覚、昨年のポーランドで食べたベーグルと同じである。あれほどまでに「ほくほくもちもち」してそうなのに、いや実際に「ほくほくもちもち」していたのだが、無味であった。路上で販売しているということは買ってそのまま食べられるのだろうから、さぞかし甘く芳醇な味が口いっぱいに広がることも想像に難くないのにもかかわらず、無味であった。

 仕方がないので水を飲んだが、水もまた無味であった。「無味×無味=無味」である。ここで数学的に「マイナス×マイナス=プラス」という式は成り立たないという事実を証明することになろうとは思わなかった。

 ムスンメンはジャムや蜂蜜などをつけて食べるのが一般的だ。食パンのように明らかに無味そうな姿をしてくれていればこんな味気ない思いをしなくて済んだろうに。

 歩きながらムスンメンについてあれこれ考察を深めていると、昨日の女性陣に再会した。彼女らはシャウエンを象徴するある写真スポットを血眼になって探しているという。シャウエンを網羅している私はなめらかにそのスポットまで案内し、それから彼女らに永遠の別れを告げた。「おはよう」の代わりに「かわいい」とは言われなかったので安心した。

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ちなみにその写真スポットとはここのことである。

 味の無いムスンメンだけでは腹が満たされなかったので、ちょうどお昼時だったこともあり適当なレストランに入った。タジンは昨日食べたので、今回はこれまたモロッコ人の主食である、”クスクス”というものを食べることにした。

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 これがまあ見事にマズい。”クスクス”と笑みがこぼれるような美味であるのかと思いきや、”クスクス”となんとも言えない苦笑いが生まれることうけあいだ。”クスクス”がどんなものなのかはなかなか言葉では表せないので、こちらを参考にしてほしい。

 そうこうしているうちにバスの時間になったので、フェズ行きのバスを待つ。モロッコのバスは意外と時間には正確なようで、タンジェの時もそうだったが、今回も正しい時刻にやってきた。

 フェズまではおよそ3時間半くらいだ。車窓から覗く景色は相変わらず荒涼としていたし、それを眺めているとうとうとしてくる。

 すると「ガタンッドスンッ!!」とあってはならない音と衝撃が乗客を襲う。目を覚ました私は何事かと思って警戒していると、さらにもう一度「ガタンッドスンッ!」と衝撃が走る。なんとバスがジャンプしたのだ。モロッコ政府主導で開発中の空飛ぶバスを試運転しているのではないかという妄想を繰り広げたが、もちろんそうではなく単純に道路がでこぼこしすぎていたのである。もし「チンさむロード」企画が今だに存在しているのであれば、私は全身全霊をかけてこの道をお勧めしたことだろう。それ以降バスが跳ねることはなく、ほどなくしてフェズに到着した。

 モロッコにやってきてから空気が乾燥しているせいか、咳がよく出るようになった。だから渡航前にバイトの先輩に「エボラ対策に」ともらったマスクをつけた。マスクをつけた状態でフェズのバスターミナルから今回泊まろうとしている”アガディール”というホテルを目指した。予約はしていない。

 マスクをしている私を、モロッコの学生と思われる女の子たちがじっと見つめてくる。私が目を合わせると、クスクスと笑う。そんなに変なのだろうか。確かにモロッコではマスクをつけている人をあまり見ない。日本の場合、何かにつけてマスクをつけている連中が目立つので違和感はないし、何ならマスクと顔が一体化しているんじゃないかと思うほど毎日マスクをつけている人間だっている。衛生管理に対する意識の差なのだろう。

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 案の定道に迷いながら、ホテルアガディールに到着した。”スマリン門”の前にあるので、タクシーで「バブ スマリン」と唱えればすぐにわかるとありとあらゆるブログに書かれていたのだが、なぜ私は徒歩を選択したのだろうか。

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 到着したのは夜の8時頃になってしまった。受付に行っても誰もいないのでどうしようかと考えていると、いかつい女性が現れ、「今日は満室だよ」と、たぶんそう言った。そう言われてショックを受けていると、「ちょっと待ってて旦那がもうすぐ戻ってくるから」と、たぶんそう言った。

 するとオーナーと思しき人物が現れ、そのいかつい女性(奥さん)が事情を説明すると、「居間のソファなら空いてるからそこでもいい?」とのことだった。「泊まれるならどこでもいいです」と、スティーブ・ジョブズ似のオーナーの気前の良さに感服した。奥さんも見た目こそいかついが優しそうだ。それから、息子のアラディンという子もいる。こちらは遊び盛りのやんちゃ坊主で、見ず知らずの私にもすぐに懐いてきた。私はアラディンのこの社交性にもまた、感服した。

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 このソファが意外に快適だったので今夜もぐっすり眠れそうだ。

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