壁が邪魔で

モロッコ/フェズ

 「ヘイジャッパン!」「タンネリ?タンネリ?」「アニョハセヨ~」「ナカタ!ナカムラ!」
 彼らモロッコ人はアジア人を目にするとこういった具合に言葉を発するようプログラムされているかのようだ。それはもはや人の発する言葉としての機能を失い、「彼らの勧誘には注意しろ」と、警鐘の鳴り止まない私の脳内ではそれらの言葉は完全にBGMと化していた。

 さて、いかにして私が世界一の大迷宮から脱出することとなったか、詳細を記述していこう。前回私はあえて子どもたちに道案内をお願いし、お駄賃をやった。それは日頃から分け隔てなく人を愛するキリストの如く慈悲深さを持て余す私がとった社会貢献事業の一環である。しかしそんなことばかりをしていたら、道案内をお願いするプロフェッショナルへの道を突き進みかねない。そうすると日本に帰ってからも誰かに出くわすたびに道案内をお願いしなければならなくなるだろう。

 脱出を試みた私はおもむろにスマートフォンを取り出し、画面右上で異彩を放つ「赤青黄緑」で構成された四角いアイコンをタップし、Global Positioning Systemが起動していることを確認した。この一連の動作によって現在地をひねり出し、進むべき道を自力で示すことに成功した。これは私にしかできない裏技であるから、マネしようとしたって無駄だぞ諸君。
 え?何?あなたのスマホにもそのアイコンがあるって?
 そうなんですね。

 メディナの外のレストランで昼食とする。基本的にメニューには必ずタジンとクスクスは載っている。クスクスを選ぶようなバカな真似はせず、おとなしくラム肉のタジンを頼んだ。相も変わらずタジンはうまい。

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 昼過ぎの陽気にうとうとしながら帰路へつく。道すがら見つけた芝のグランドで、一生懸命サッカーボールを追いかけているおじさんたちの姿を目撃し、いと健気に感ずること甚だし。

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 そういえば午前中、ダイスケ氏なる男性がホテルアガディールを訪ねてきた。彼はオーナーと英語でコミュニケーションを図ることを厭い、オーナーを困らせていた。彼がやってきたときにはまだ部屋が空いていなかったのだが、私がメディナから帰ってくるとツインルームが一部屋空いたのでダイスケ氏と相部屋で宿泊することとなった。ツインルームは二人で100DHだった気がする。私の貧弱なお財布には非常に心強い良心的価格である。
 この日は宿のWiFiが故障していたこともあり、私がメディナに出かけている間、ダイスケ氏は新市街のマクドナルドに籠城し、「マックポークはないのか!」とイスラムの国に無茶振りを強いていた、というのは嘘であるが、マクドナルドでWiFiを縦横無尽に利用していたらしい。
 彼はここへ来る前、イランやトルコに行ってきたのだそうだ。イランの列車のチケットはすべてペルシア語で書かれており、内容が皆目分からなかった、という話が印象的であった。ペルシア語を勉強しようと思った。
 私は次の目的地をメルズーガの砂漠と決めていたため、ダイスケ氏に一緒に行こうと訴えかけ、翌日の夜行バスで移動することに決めた。

 さらに砂漠仲間を増やしたい私は同じくホテルアガディールに宿泊していたヨーコ氏もお誘いし、一緒に行くことにした。このヨーコ氏も南米からやってきたという豪傑である。先住民ではない。

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今日もオレンジジュース屋の親父はご機嫌だ。

 自称夕焼けカメラマンである私は、フェズの街を一望できるスポットを探すべく、高いところを目指した。

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スマリン門からスークを通り抜け、ブージュルード門にたどり着いた。

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ブージュルード門も通り抜ける。

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 徐々に高いところに近づいている気がしているのだが、壁が邪魔で街を見渡せない。

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 適当に歩いていると、道がわからなくなり、日も暮れ出した。どこまで行っても壁しかない。

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 壁しかないのでめんどくさくなり、諦めて帰ることにした。何としてもフェズの街を一望するんだ!という気概が足りなかったことに関しては弁解の余地もない。でもなんだか綺麗な夕焼けを撮ることができたので個人的には良しとしておきたいところであるが、壁が私の行く手を常に阻んできたことは誠に遺憾である。

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 宿の前の太鼓の大合奏は昨日以上に盛り上がりを見せていた。私は昨日よりも近いところで、指をくわえて見ていた。

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