キャンピングアットデザート

メルズーガ/モロッコ

 モロッコにやってきてからというものの、お通じがすこぶる快調である。連日の健康的な食生活によって、私の胃腸はバルセロナのパスワークばりの流動性を発揮するようになった。しかし稀にレアルマドリードばりの超絶カウンターが火を吹き、あたふたする。人はそれを「腹を下した」というふうに表現するらしい。
 一方でお肌の調子が芳しくない。水分が奪われ、唇に亀裂が入り、干ばつに見舞われるアフリカの大地並みの荒れようであった。見かねたヨーコ氏がオロナイン軟膏を譲ってくれたので、ことあるごとに塗りたくった。

 朝食を済ませた我々は、各自昼過ぎの出発に備えて支度をする。女性陣は”ジュラバ”と呼ばれる砂漠の民族衣装を纏い、きゃっきゃしているのが楽しそうであった。私もターバンを購入し、絶妙な巻き方でアルカイダに扮装した。ダイスケ氏は紺碧のターバンを購入していたが、さすがに賢者みたいには見えなかった。準備の段階からもう楽しい。

アリさん「カメラは持っていく?」

私「持っていきまっせ」

アリさん「じゃあカメラ用のプラスチックバッグをあげよう!砂が入ったら壊れるから」

私「おおなんと!ありがたき幸せ!」

アリさんがくれたのはただのスーパーのレジ袋であった。

 キャンプ地には水もトイレもあり不便はないというので、荷物は最小限にとどめておいた。防寒衣類などをデイパックに詰めて背負い、ターバンを巻き、サングラスをかけ、フェズで購入した太鼓を肩から下げて完成した私の姿は「勇者Lv1」と呼ぶに相応しい格好であった。

 準備が完了すると、一人一人にラクダが割り振られる。ラクダ達は糞を撒き散らしながら我々を迎えてくれた。
お決まりであるが、それぞれのラクダに名前をつけるところから始める。
 ヨーコ氏は自分のラクダに「チェリー」と名付け、そのSっ気をいかんなく匂わせる。そのラクダがチェリーなのかどうかはさておき、キョーコ氏は「じゅんじゅん」と命名していた。ラクダはフランス語でジュメルだからその「ジュ」をとったのだそうだ。面倒くさがりのダイスケ氏は残った「メル」の部分を採用していたが、面白くないので私が「松井メルちゃん」というキラキラネームを付けてあげた。「松井」がどこから湧いて出たのかは覚えていない。私のラクダには「よしを」という名を授けた。
 「よしを」は4匹の中でも一番小柄で、4人の中で一番大柄な私を乗せるに一抹の不安を覚えたが、よしをは常々「ぼく頑張る」と言っているように見えたので、私は安心してよしをの背中でふんぞり返った。

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こいつはチェリーである。ふてぶてしい面には定評がある。

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「勇者Lv1 on よしを」

 一行は広大な砂の海をずんずん進んで行く。ラクダを誘導するハッサン(スタッフ)の軽快な足取りは、彼を砂漠の民族たらしめるものがあった。

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 よしをは相変わらず弱音も吐かずに頑張って歩き続けてくれていたが、その乗り心地は決して良いとは言えないし、そんなことを訴えて歩くのをやめられてはどうしようもないので、私も健気に乗り続けた。
 しかしながらどうも雲行きが怪しい。雨が降ることはあまりないというが、このままでは満天の星空を見ることができないかもしれない。

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ダイスケ氏はしんどくない乗り方を発明していた。これが結構楽だった。

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 ラクダという生き物は、隙があれば常にぷりぷりとう○ちをしている。恥ずかしがる素振りも全くなく、毅然とした態度で野糞をする。大した度胸である。

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このように楽しそうに見えるが、後半は基本無口である。

 しばらく進んで行くと、キャンプ地が見えてきた。なかなか本格的なキャンプ施設のようだ。ようやくラクダから解放され、砂遊びに本腰を入れることができるようになる。
 子供には砂場で十分だが、私ほどの人間にもなるとこれくらいの広大な砂漠は必要だろうと、雲行きの怪しさに不快感を覚える気持ちを奮い立たせた。

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