ロッククライミングはさすがにしんどい

モロッコ/トドラ

 トドラ渓谷はロッククライマーの聖地として有名であるそうだ。岩肌のいたるところにロープを結ぶ杭が打ち付けられており、インストラクターと共に登る者が散見された。非常にアクティブな空間である。

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 実のところ、私も岩登りには興味がある。昔、父に連れられてボルダリングに行った時のことである。ただ壁をよじ登るだけというなんの変哲も無い行為であるというのに、終わった後のあの全身筋肉痛がなんと心地よいことか。クセになっちゃいそうだ。

 こんなことを言うと私がM体質であるかのように受け取る偏屈者もいるかもしれないが、私は決してMではない。などというと「じゃあお前はSなのか」と相手を質問攻めにすることを生きがいとしているようなSの権化のような人間にちくちくと突かれる。私にとって、この「全身筋肉痛快楽問題」は2面性を秘めている。つまるところ自分の体に負荷をかけてやろうというSな側面と、その負荷を求めているMな側面が相まって実現するのである。これはSとかMとかいうやりとりの全てを払拭する回答であるといえよう。その汎用性はとどまるところを知らない。

 私の意味不明な持論はさておき、宿でごろごろしていた私を見たノリコさんは、「ロッククライミングでもしてきたら?インストラクターも紹介するし」と勧めてくる。「それありですね〜!!」と、ありだと思っていない時に繰り出す相槌を打って、その場をしのいだ。ロッククライミングはしんどいし面倒だ。え?さっきのSMの話と矛盾してる?そうだ。私は世界一矛盾を愛する漢なのだ。何が悪い!

 しばらくすると一人の女性が宿へ戻ってきた。ヨシコ氏である。彼女は私が来る少し前にやってきていたようで、山へ登っていたらしい。山登っていたと簡単に言うあたり、ただならぬオーラを感じる。
 私がトドラにやってきたのはもちろんノリコさんの宿に泊まりたかったからでもあるが、真の目的はトドラの北にあるイミルシルという村の湖を見に行きたかったからである。そしてこの宿で人が集まるのを待ってタクシーで行くつもりであった。ノリコさんも一緒に来てくれるということだったので、5人くらい集まったら行こうかと話していたところであった。ヨシコ氏もそれに賛同してくれた。

 ノリコさんとヨシコさんがハマムに行くというので、なんだか面白そうだったので私も行くことにした。ハマムというのはイスラムの共同浴場のことである。
 宿の前からミニバスに乗ってハマムのあるティネリールの町まで行く。ハマムへ向う途中、ノリコさんがジュラバを買いたいというので、それについていった。ジュラバというのはベルベル人の民族衣装のことで、ローブみたいなやつである。薄手のものからウールなどの厚手のものまであり、すっぽりかぶるだけなので非常に扱いやすい衣服である。太鼓を始め民族的なものに目がない私はそれを手に入れたくて仕方がなかったが、荷物が増えてはどうしようもないのでその場では指をくわえて見ていた。
 ハマムに到着し、受付でアカスリ用のごしごしするやつとアルガンオイル配合と思しき石鹸を5DHほどで購入し、中に入る。外国人しかいない浴場はどこか新鮮である。共同浴場とは言っても、湯船はないのがハマムの特徴である。中はミストサウナのようになっており(息苦しいほどではない)、壁にはたくさんの蛇口が付いていて、そこからお湯が出てくる。バケツを利用して体にお湯をかけながら、ごしごしと磨いていくのが基本スタイルである。また浴場内にはアカスリ屋さんが常駐していて、なぜか日本語で「アカスリ?」と聞いてくる。見るからに豪腕そうなアカスリ屋さんにごしごしされたら肌がもげてしまうかもしれないという恐怖心から「ノーアカスリ」と言わざるをえなかった。

ちなみにムスリムは公衆の面前で裸体をさらすことは禁じられており、浴場内も例外ではない。だからパンツを履いたまま入浴する。誤って裸体を晒してしまうと、公然猥褻罪や猥褻物陳列罪どころでは済まない。破門である。

 ハマムから宿へ戻り、お待ちかねの夕飯であった。ノリコさんは「今日は何がいい?」とリクエストを聞いてくれる。ハンバーグがいいと私が言うと、夢にまで見た日本食おふくろの味ver.が眼前に出現し、私は涙が出そうだった。

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 味は言うまでもなくなく美味しい。ここにずっといたい。もうタジンはいやだ。クスクスはもっといやだ。そうしていつまでも日本食を味わい、幸せを噛み締めたトドラでの1日目であった。

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