たろゑもん、タイの田舎を訪ねる【タイ1日目】

シェムリアップ→バンコク→スパンブリー →前回の記事はこちら

 

朝起きると二日酔いであった。ふとベッドから降りると足元で数匹のGさんが足をひくひくさせながら仰向けで瀕死状態であった。私はスリッパでそっとトドメを刺し、部屋の外に残骸を蹴り出した。
なぜ朝からこんな惨憺たる風景を目の当たりにしなければならないのか、そんなことを考えながらふらふらと部屋の外へ出てみると、先日私も行ったプレアビヒアツアーの参加者たちが集まって、早朝にもかかわらず賑やかである。これから待っている移動地獄のことなどつゆ知らず、純粋無垢な笑顔を見せるばかりであった。それをみて意地の悪い私は思う存分に嘲笑いたいところであったが、なんだか気持ちが悪いのでそれどころではなかった。
「気をつけろ、血を見るぞ」私は心の中でそう警鐘を鳴らした。

 荷物のパッキングを終え、宿のテラスで出発を待つ。非常に短い間だったが実に思い出深いカンボジア亡命生活であったなあと、感慨に浸る。
酒を飲んだり、トゥクトゥクに乗ったり、酒を飲んだり、遺跡を見上げたり、酒を飲んだり、猥談にふけったり、アジャコングと格闘したりと、ブログを更新する暇もないほど、私にとって近年稀にみる忙しさであった。
宿を去る時、名残惜しさだけが私の心を駆け巡り、久しぶりに寂しさを感じた、哀愁漂う午前7時。
「そろそろ次の国へ亡命しなければ。」
相変わらず亡命の意味を履き違えているたろゑもんであった。



 空港まで送ってれたトゥクトゥクドライバーは昨日アンコールツアーに連れていってくれたソナーだった。
彼は私を見るやいなや、「今日も眠い?」「気持ち悪い?」と茶化す。
一人トゥクトゥクにごうんごうんと揺られながら、「今日も眠いし、気持ち悪いに決まっている!」と私は応戦した。
空港に到着し、お別れとともにチップを渡した時の彼の笑顔は、額縁に入れておきたくはないくらい愛らしかった。

空港内では、我らが日の丸を背負う吉野家が神々しく存在感を放っていた。私は牛丼に飛びつきたくなったが、二日酔いが食欲を遮断して仕方がないので、溜まりに溜まった執筆活動に勤しんで時間を潰した。

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もっとだらだらしながら執筆活動に励みたいところであるが、如何せん今回の亡命はこの先も時間がない。
たろゑもんはだらだらしながらの方が生産性が高まる生き物である。
そうこうしているうちに搭乗時刻となる。

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かまぼこ断面ツルツル肌のCAに見とれていると、知らぬ間にバンコクスワンナプーム空港に到着していた。
すぐさま荷物を受け取り、約束の2階3番出口へと向かう。ここからさらに長距離移動が待っているので、空港内の雑踏をかき分け、ひとまずトイレに駆け込み、腸を優しくいたわり、蚊に刺されて腫れ上がった両足首をかきむしった。

 待ち合わせ場所に着くと、見るからにはつらつとした女性と、見るからに教授っぽい男性が談笑していた。私が待ち合わせをしている人たちで間違いない。
「こんにちは!初めまして、たろゑもんです!」私はその場に滑らかに登場し、好青年が如く爽やかな挨拶を繰り広げた。
「こんにちは〜、無事に到着して良かったです!では早速参りましょうか」とお二人。
我々はタクシー乗り場へと向かった。



 おっと失礼、この二人の人物は誰かって?そりゃそうだ。一度整理しよう。
女性の方は、父の大学の同級生であり、かつ、父と母の海外協力隊時代の戦友である。圧倒的行動力と明晰な頭脳を持ち合わせた彼女は、日本で暮らすことを潔しとせず、タイ人男性と結婚し、タイで数々の面白いことに取り組み、向かうところ敵なしだという。面識はなかったが、両親の会話中によく登場していた人物であり、一度会ってみたいなあと思っていたところ、今回に至る。
ここではF先生としておこう。
男性の方はというと、F先生のいわゆる仕事仲間であり、某大学の教授である。私とは全く繋がりもない完全なる初対面である。非常にフランクで、興味のとどまるところを知らないというような気のいい方であった。ここではO先生とする。
そして私は、全日本を代表する愚民、たろゑもんである。みなさんご機嫌麗しゅう。



 どうして今回このお二人に会うことになったかというと、ことは単純である。
当初何も考えていなかった私は、「もうダメだ!タイに亡命する!」と母に告げた際に、「じゃあF先生の所に行ってきたら?」と言われたので「御意!」と答えた。これが全てである。
バンコクで普通の旅行者と同じようにぷらぷらするよりも、異世界に飛び込んでみたいという常日頃の好奇心の賜物である。
そう、たろゑもんは人と違う物事に目がないのである。

 というわけで、カンボジアであれほどふざけ倒していた私が、これから一体何をしようというのだと、切れ味鋭い切り返しについてこれない読者の方もいるだろう。
私はこれからバンコクの北西に位置する、スパンブリー県にあるノーンヤーサイという町を訪れ、タイの障害者福祉施設の農場見学に赴くことになっている。
私はここで多くのことを学んだ。読者の皆さんにも多くを学んでいただくとしよう。

 

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