たろゑもん、タイ障害者エンパワメント協会を視察する①【タイ1日目】

タイ/スパンブリー県ノーンヤーサイ →前回の記事はこちら

 もわっとした湿気と香辛料のような匂いが相まって、ふわっと五感を刺激する。
 たろゑもんはふと考えた。海外、特にアジアではその土地によって特徴的な匂いがある。韓国はキムチの匂い、中国は埃の匂いがしたし、カンボジアはよく分からない匂いがした。外国人から見た日本はどんな匂いがするのだろうか。
 そんなことに思考を巡らせながら我々一行はタクシー乗り場に滑り込んできたチャータータクシーに乗り込み、バンコクの北に位置するスパンブリー県ノーンヤーサイ郡を目指す。

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 F先生は私のために水やら昼食やら果物やら、ありとあらゆる必要物資を供給してくださり、私に1バーツすらも取り出す機会を与えてくれなかった。途中で寄ったセブンイレブンで、「シャンプー足りるかなあ」と私がこぼすと、目にも止まらぬ速さでシャンプーを買ってくれた。まるで神速である。私は道中必ずや物乞いだけはしないようにしようと心に決めたのであった。



 空港から約3時間でようやく目的地の「タイ障害者エンパワメント協会グラーブファーム」に到着する。
 ここで当施設について簡単に紹介しよう。


「タイ障害者エンパワメント協会グラーブファーム

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 タイ障害者エンパワメント協会は、タイ人女性グラーブ氏が私財を投げ打って開設した福祉農場が母体となって2015年9月8日に創立された。
 当協会では教育面・福祉面での政府支援がまだ十分に届いていない、中部及び東北タイ11県220人の障害者とその家族を支援しており、その多くが農村地域に居住する貧困層である。
 障害者のみならず社会的弱者全体の生活水準の向上をはかり、その開発モデルをアセアン諸国をはじめとする世界各国と共有し、それぞれの国において共生社会を実現することを目的としている。
 この目的の達成のために、障害者福祉・教育の面で一定の成果を上げている日本と連携すべく、日本の大学やNPO法人の人材を協会の顧問として迎えている。
 2016年にはタイの民間企業セントラルグループによる資金提供や就労支援を受け、協会の福祉農場で障害者64人を受け入れ、研修を実施するなどの成果を上げている。


 ざっとこんな感じである。
 タイでは企業に対し、雇用者100人ごとに障害者1人を雇う義務が課せられており、未達の場合は「最低賃金×365日×未達成人数」の拠出金を政府が指定する基金に納付する必要があるという。しかしながら企業側も障害者をどのように雇うべきか、明確な方法を定めることができておらず、それによって障害者の就労機会がなかなか見つからない、という状況にあるらしい。
 そこでグラーブファームではセントラルグループの出資を受けて障害者に働く機会を提供することによって、企業の障害者雇用義務と、障害者の雇用機会の両方を達成しているというモデルを構築しているのである。



 「農業」に「障害者雇用」となれば私にとっては未知の世界である。今までそれに関する勉強などしたこともなければ、今後する予定もなかったが、こうしてよく分からずとも関わってしまえば、不思議と興味が湧いてくるものである。

 ある程度説明を受けたところで、なにやら沢山の人が集まっているところに駆り出され、よく分からないまま、私はファームの皆さんの前で挨拶をすることになってしまった。



 「いやいやそんなわたくしのようなどこぞの馬の骨とも知れないような愚民が皆様の前でご挨拶をするなど滅相もございません!どうかご容赦を!」と心の中で叫んでいたのだが、そんなことを言い出せないくらい皆さんが温かい目で私のことを見つめていたので、O先生の立派な挨拶が終わった後、マイクを受け取り、仕方なく口を開いた。

 「サワディーカー!たろゑもんと申します!この度私は縁あってこの地に降り立ったわけですが、タイ初心者にして農業知識は皆無、右も左も上も下も分からない、首すらも座っているかどうか怪しいのであります。しかしながらなんとか皆様のご活躍をこの目に焼き付け、なんでもよいから吸収し、なにかしらの形で還元したいと思っておりますゆえ、なにとぞよろしくお願い申し奉り候!」

 とまあよく分からない言動をとり、F先生の通訳に全てを託す結果となってしまったが、彼らの温かい拍手に感動を覚えた。

 「私はタイが好きだ。」
 たろゑもんは単純なのである。

 挨拶の後はファームの見学へと移る。次回へ続く。

 

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