ラオスに行ってきました②【ビエンチャン】

ラオス/ビエンチャン

 ビエンチャンはラオス人民民主共和国の首都であり、つまりはラオスの中心地であるのだが、首都であるという事実以上に特筆すべきものもないのが現状である。首都とは何か。政治とは何か。経済とは。いやそもそもラオスってどこなんだ。疑問点をあげると枚挙にいとまがない。

 ラオスの通貨「Kip(キープ)」はただひたすらに桁が多く、非常に扱いづらい通貨である。
 1Kip=0.013円
 1,000Kip=13円
 10,000Kip=130円
 5,000Kip辺りからようやく我々が通貨として認識できるレベルに達する。ちなみにタイバーツも使える。
 3日間程度の短期滞在では換算能力が追いつかないため、とにかく引き出してしまったものは全て使い切ってしまうのが定石である。そのため、ラオスで使ったお金は一体いくらだったのかは今となっては闇の中である。これはラオス政府の観光業における一種の策略ではないかと疑いの目を向けたくなるほどだ。

 ビエンチャンの空港からはタクシーで市内へと向かうことができ、空港出口あたりでタクシーチケットを販売している。料金は一律57,000Kipであり、15分程度の道のりであるにもかかわらず、日本円でおよそ800円と高い。高いのでどうしようかと逡巡していたが、どうも他に手段がなさそうなのでタクシーを使った。宿は市内中心部にあるらしいので、そこまで直接送り届けてもらった。
 後から調べると、空港を出て、大通りで流しのトゥクトゥクを捕まえれば30,000Kipくらいから乗れるとのことだったが、300円くらいの差なのでどうでもよくなった。

 予約していた宿はメコン川にほど近いミーサイゲストハウスというところである。

 シングルの部屋で一泊約1,100円、朝飯付きで部屋もそれなりに綺麗、スタッフも親切と文句のない宿であるが、バックパッカー的にはやや高い。がしかし、バックパッカーを逸脱した、ただのリーマン旅行者と成り下がってしまった私にとってはむしろ格安である。うるせえ!人は変わるんだよ!

 宿で一通りだらだらしたあと、なんとなく手持ち無沙汰感が否めなかったので、近くにあるメコン川とやらに赴き、だらだらする場所を変えることにした。

 それにしても首都の中心地とは思えぬほどの静けさである。いや、単なる静けさというよりは長閑さとノスタルジックな雰囲気が一帯に漂っており、訪れるもの全てにだらだらする以外の選択肢を与えまいとせんばかりである。
 私は近所にあったコンビニでビアラオを購入し、まだ明るい街中をメコン川方面へと歩き出した。

 川辺に腰を下ろし、先ほど購入したビアラオをぷしゅっと解放し、喉に放り込む。メコン川の汚濁とは裏腹に、きらめくように駆け抜けるビアラオの喉越しと、その甘美なまでにフルーティな味わいに恍惚としていた私の脳みそは、緊急冷却装置の臨時稼働も虚しくメルトダウンしてしまった。
 まだ人通りの少ない昼下がりの川辺では、私のような観光客がだらだらしていたり、その辺のおっさんがだらだらしていたり、各々気の向くままだらだらしている様子であった。
 こんな様子を見ていると、世の中の出来事や悩み事の98%くらいはどうでもいいことのように思え、なんだか心がすっきりとする。
 宿よりも充実しただらだらライフに心奪われていると、あたりがだんだん暗くなり始める。ふと遠くを見ると雲の間隙を縫って橙色の光が滲み出て、それはそれは、まことに麗しきことこの上なし。

 

 そうして夕陽に夢中になっていると、今度は急激に騒がしくなり、おもむろに爆音でダンスミュージックが鳴り始める。見渡すといつの間にか湧き出てきた熟年女性たちが熱心に身体を振り回しているではないか。

 そう、これがビエンチャン名物「夕陽のエアロビクス」である。夕陽をバックに雄大なメコン川流域で、身体を捻り、折り曲げ、振り回し、さぞ爽快であろう、もはやお祭り騒ぎである。
 先ほどまで閑散としていた川辺にもたくさんの人が集まり、夕涼みをしている。

 存分にだらだらできたことと、ビエンチャンの活気ある姿を目撃することができたという満足感を胸に、私は宿に戻った。
 宿の受付で明日朝のバンビエン行きのバスを予約し(50,000Kip)、部屋でごろごろして眠った。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.